戦う司書と恋する爆弾
一応、前嶋重機イラストに対する表紙買い的なところもあったのだが、すまぬ。十分に面白かったじゃないか! オリジナルの世界観、それに見合うガジェット設定、ヘンに情に流されないストーリー展開、伏線の張りこみの妙、チャカついていない筆力、言葉の選択が上手い。要するにリーダビリティに溢れた作品だったってことだ。文中、三毛ボンって出てきて「うひゃ」と思ったが、実はそれが後になって意味があることが判明するあたり「やられた」と思いました。
魔法と科学が混在した世界という設定を今回は完全には生かしきっておらず、そこは少々勿体なかったが、そんなことは吹き飛ぶくらいに「武装司書」と「本」という基本設定が実に魅力的なのである。各人の能力や「追憶の戦器」といったジョジョ的超人設定もでしゃばらない程度に上手く作用しているし、目配りがきいている。
まあ設定だけがよくても、物語としてダメなら意味ナシなんだけど、それも杞憂で、まさか時間軸を越えたボーイミーツガール、つまり時間テーマの王道だったとは! クライマックスになって明かされる時空を越えた愛の姿! なおかつ、ハッピーエンドではなくほろ苦くて哀しい物語でもあるにもかかわらず、どこかカタルシスがある(純愛の成就があるからか?)のだなぁ。
というわけでお薦めです。
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戦う司書と恋する爆弾 著者:山形 石雄 |
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