魔法鍵師カルナの冒険(4)
作者自身あとがきに書いているけれど相当に駆け足の展開で、そんなに早く進まなくてもいいのにとは思った。何故にそこまで焦ったのかよくわからない。しかし、このくらいのスケールの話としては4巻で完結させるというのがちょうどいいボリュームなのかもしれない。
少なくとも、これだけは云えるのだが、魔法鍵師というかなり面白い設定は最後まで魅力的だったなぁ。鍵開けとはということに対するエクスキューズが終始一貫しており設定にブレがない。しかもその設定自体が主人公カルナと師匠ミラとの関係性のキーになっているわけで、基礎設定とストーリー構成が上手くかみあっていたのかな、と感じた。まあ、粗いっちゃぁ粗いんだけど、ね。けしてそれが足を引っ張ってはいない。
んが。
不満もそれと同じくらいあるのだ。例えば、カルナとスターリングとの関係についても無理矢理恋愛模様を導入しなくても成立する必要があったのだろうか。わざわざ二人の関係の成就をクライマックスにした理由がわからん。むしろ師弟愛と主人公の成長をメインとするべきではなかったのか?
もうひとつは、作文力、というか言葉の選びかた。安直な英語によるテクニカルターム(例えば「ファイやアロー」とか「ロストテクノロジー」とか)ってすごくゲーム用語っぽいし、それは自分としては非常に稚拙なものとして映るのだ。古代遺跡のセキュリティインターフェイスのスマゴリンの科白回しのチャカつき加減も雰囲気ぶち壊し。せっかく筋のいいアイディアと全体に流れるエピカルな雰囲気は出せているのに、その安っぽい言葉のチョイスがぶち壊していると思う。実に勿体ない。
ともあれ、4巻にて完結。ダラダラ続けるのではなく語るべきことを語ったらおしまいという潔さはよい。回収しきれていない伏線もないわけではないが、とりあえず大団円だ。
次回作もとりえず期待はしたい。
魔法鍵師カルナの冒険(4) 著者:月見 草平 |
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