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2006年1月31日 (火)

幻獣標本博物記

未確認生物の標本とそれにまつわる小論。というつくりの図鑑である。生物名に“遊び”の部分があって(特に幻界灘編)けっこう好きだ。一歩間違えると単なるダジャレになってしまうのだが、ギリギリのところで踏みとどまっていると思う。(ただし第3章「悪獣」はちょっとハズシテルか?)

一応、自然科学系のつくりだが、実はアート系の本である。だからというわけでもないのだろうが、最後の最後でネタをばらしてしまってるのが勿体なかった。最後まで覚悟を決めていれば見事な嘘学本となりえたのだが。まあ、標本の出来が素晴らしいのでそれだけでも十分面白かったのは事実である。

幻獣標本博物記 Book 幻獣標本博物記

著者:江本 創
販売元:パロル舎
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荒野の蒸気娘(1)

相変わらず歪んでいるなぁ。笑いを求めているのか、ストーリー性に走っているのか曖昧。いわゆるオフビートな感じ。「萌え」ることに対するシニカルなツッコミを暗示しているところに作者の(いい意味での)悪意をすごく感じる。

Book 荒野の蒸気娘 (1)

著者:あさり よしとお
販売元:ワニブックス
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酒ラボ

理系キャンパスライフなマンガではあるが、つまらないわけではないが至極普通だった。(そう分類すること自体、実は無意味なことは承知なのだが)とりあえず自分も理系出身だけに、新鮮味がないのかなぁ。農業専攻出身者や蔵元に知り合いがいるし。それ自体一般的じゃないんだろうけどね。まあ破天荒なネタ満載のマンガを期待するほうが間違っているんだろう。普通の少女マンガとして読むのが正解。

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2006年1月29日 (日)

神はサイコロを振らない

注意! 感想文中、話の結末がわかる可能性ある言及をしています

マイクロブラックホールに捕われて10年後にタイムスリップしてしまった乗員乗客と、普通の時間軸で生きてきた家族達との束の間の逢瀬の物語。リーダビリティの高いエンタテイメントとして結実している。よかった、面白かった。

設定は一応SF的ではあるが、いわゆるSF小説ではない。これが(狭義の)SFならばタイムパラドックスにチャレンジしたりといったロジカルな快感を狙いに行くのだろうが、ここでのSF的設定はあくまでも死んだ家族が帰ってくるという状況を生み出すための仕掛けでしかない。つまりはお盆に死者が帰ってくるというのと変わらないのだが、なんとなく科学的な理屈がついていることで、作中の人々が、帰ってきたことにリアリティを得るためのエクスキューズとして機能している。

で、この話のツボは、そういう状況において人々はどう過ごすのかというシチュエーションドラマであろう。結末はけしてハッピーエンドではないが、清々しさが残るのは、登場人物たちが皆、精一杯できることをしよう、思い残すことなく生きることが大事なのだ、ということを全員が体現しているからだと思う。読みようによっては、あまりにも悪人がいないことにウソくささを感じるかもしれないが、そのくらいのファンタジーはあってもいいのではなかろうか。

ところで、これはSFじゃないと上述したが、実はラストにおいてまさに時間テーマSFのロジックの伏線があった。物語の本流を占めるエピソードではなく、あくまでもサイドストーリーのひとつなのだが。それにしても、刑事ドラマから純愛ドラマ、人情ドラマまであり。で、なんて盛り沢山な小説なんだろう。

(ところで地方行政って、そんなに硬直した組織じゃないし、逆に末端もあんなにアバウトじゃあないぞ。ま、心意気的なところはあんな感じかもしれないけれどね)

神はサイコロを振らない Book 神はサイコロを振らない

著者:大石 英司
販売元:中央公論新社
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2006年1月28日 (土)

低俗霊DAYDREAM(8)

ストーリーにはそれほどに不満はないのだが、ここ数巻、絵が少々荒れてきてるような気がするのだが。話がディープになるのに寄り添う形での変化とみることもできるが、自分としては、確信犯的にねらった着エロっぷりとオフビートなニュアンスが気に入ってたので、ちょっと寂しい。

低俗霊DAYDREAM (8) Book 低俗霊DAYDREAM (8)

著者:目黒 三吉,奥瀬 サキ
販売元:角川書店
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かみちゅ!(1)

神さまの中学生だから「かみちゅ」というセンスはどうかと思わないでもないが、それはそれとして、久々にヒット!

自分は本当はノベライズなどの2次生産物には手を出さないことにしているのだ(キリがないし縮小再生産にはあまり惹かれないので)が、アニメ「かみちゅ」の世界観にあまりにグッときてたもんでつい買ってみた。正解でした。面白い。まったり癒し系。

基本的にアニメ版とまんま一緒ではあるんだけど、絵的にも語り的にもすごく丁寧な仕上りなのだ。日本の田舎の八百万のマジックリアリズムっぷりが心地よいし、ゆりえ、光恵、祀の三者三様の友情にも萌え萌え。基本的に友情成長モノには弱いのだ。

たぶん、一般的な標的としては、二次元美少女好きの大きなお友だちなのだろうとは思うが(そして、自分としても多少それにのってるところもないわけではないが)、しかしこの作品の根源的な魅力は、神さまと人間が同居している(ことを容認している)ご町内世界というマジックリアリズムにあると思うのだ。日常と魔法の距離感がすごくいい感じなんだよね。いや、ホント。

あと、猫好きゆえ、タマにはやられましたことは告白しておかねばなるまい。
ともあれ、次巻が待ち遠しい作品となった。

Book かみちゅ!(1)

著者:鳴子 ハナハル,ベサメムーチョ
販売元:メディアワークス
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ヒッカツ!(2)

矢上裕、好調。相変わらずヘンなネタ(同人区ってなんだよ!)を展開しつつ、ラストでちょっといい話風にまとめ上げる作風は健在で、上手い。ただ手馴れてきた分、ちょっと小さくまとまりすぎな感じもしないではなく、もう少し暴走してもいいかなぁ。とも思う。ま、ねだり過ぎかな。

だから思いきりの飛び道具でケリをつけた第8話が一番よかったりする。ほら、自分おこちゃまなもんで、う○こち○この直球ネタに弱いからさっ。いや、そんなこと自慢しても、どうしようもないか。

自分的には巻末4コマ総合パフュームの「星に願いを」の娘ッコに萌え。う○こネタだから(ウソ?)。

ヒッカツ! 2 (2) Book ヒッカツ! 2 (2)

著者:矢上 裕
販売元:メディアワークス
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ヒッカツ! 1 (1) Book ヒッカツ! 1 (1)

著者:矢上 裕
販売元:メディアワークス
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2006年1月26日 (木)

ネペンテス

動揺すると悪いことが起こる少年。相手の弱みを知ることのできる少女。設定的にはいわゆる『セカイ系』ホラー。なのだが、不安や怪異が日常に紛れ込んでいる異質な雰囲気は、むしろ怪談と呼ぶべきなのだろう。面白いし、ちょっと嫉妬心も感じる。

作中、セカイ系設定に対する言及として「個人の力が世界に影響を与える、云々」という科白があって、なるおどそりゃそうだよなぁ。と思った(といいつつ、自分的にはセカイ系の自意識過剰っぷりなイタさは好きなのだけれどね)。

テクニック的な部分として、清水マリコ作品は他のライトノベルとあきらかに違うのは、おのまとぺを多用しない落ち着いた文章運びがある。読んでいて安心できるのだが、それって自分が歳をくったってことの裏返しなのだろうか?

ネペンテス Book ネペンテス

著者:清水 マリコ
販売元:メディアファクトリー
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2006年1月25日 (水)

アブラクサスの祭

仏門とロック。というと、かの名作「ファンシィダンス」を励起するのだが、話は勿論まったく相似するところはなく、むしろココロの病からくる(?)生きることに対する罪悪感の吐露が延々と続く『生きててすみません』的純文学。カタルシスもなく、ちょっとついていくのがきつかったなぁ。

アブラクサスの祭 Book アブラクサスの祭

著者:玄侑 宗久
販売元:新潮社
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2006年1月22日 (日)

僕らの国

注意! 感想文中、ネタバレに結びつく可能性ある言及をしています

近未来シミュレーション小説でサバイバル小説のわけだが、ストーリーを進めるために生命を軽視するというのはちょっと首をかしげるところだ。必然ある殺し合いはまだ許すとして、無意味に殺される生命、露悪的なカニバリズムまで描く必要なのか。
話の展開にも微妙に狡さを感じる。前半のシミュレーションからすれば各棟の確執と崩壊というようになるのだろうが、それを担うべき登場人物がサクッと死んでいってしまうのだ。肝心の錬王の最期にして、実にあっけない。というか、強引に話の流れを捻じ曲げてしまってるように思える。パターンはずしのつもりかもしれないが、フリを回収できなくなって無理矢理、魔獣に整理させた。書くのを逃げたというように見える。殺伐としたジェノサイドストーリーに持ち込む必然性はないし、第一、魔獣の設定自体、不要なのだ。それがなくても十分、クライマックスに持ち込むことができるはずなのに。
クライマックスのミステリーの解明は意外にも伏線もある本格的な展開で上手いなとも思ったし、ラストもキレイにまとまって、読後感は悪くない。リーダビリティもあってどんどん読み進むことができる。正直、面白いのだ。それだけに実に惜しい。

「バトル・ロワイアル」以降、過剰なリアリズム(?)を売りにする話が増えているが、自分としてはそういう話が嫌いではないし否定する気もないが、多すぎるってはさすがにちょっと、ね。

僕らの国 Book 僕らの国

著者:佐神 良
販売元:光文社
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2006年1月21日 (土)

ドラグネット・ミラージュ

異世界からの来訪者とのバディストーリーは、さほど例が少ないわけではないが、典型的な刑事モノの設定によるライトノベルはあまりないかな。設定的にもストーリー的にも新機軸のアイディアというほどではないが、丁寧に書かれていて好感度は高い。面白かった。
あえて、希望を云うとするなら、訳者あとがき(笑)にもあるとおり、萌えキャラが少ないが、オレ的にはもっとオッサンだらけの話でいいと思うのだが。G.A.エフィンジャーばりなガチガチでハード、しかもウェルメイドでもある、と、そんな感じになると最高なんだけどな。

セマーニ人の蔑称が「宇宙人」となっているのが、(架空の)原作では「エイリアン(異邦人)」となっているのを意訳したっていう、深い意図があるんですかね。言葉による世界観の表現についてはけっこう神経を使っているようなので、きっと意識的なんだろうな。

次回作にも期待する。延々とシリーズ化しちゃって、すりきれない程度に続いて欲しい。

ドラグネット・ミラージュ Book ドラグネット・ミラージュ

著者:きぬた さとし,賀東 招二
販売元:竹書房
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2006年1月20日 (金)

ねこめ~わく(4)

そりゃ竹本泉はものすごく昔から追い続けているわけだが、どこが好きかというと、のほ~んとした絵柄が好みというのもあることはあるが、なによりもここがいいんだってのは、すごく懐かしい香りのする奇想の部分なんだよね。“SF”。というよりも“空想ホラ話”と呼ぶほうが似つかわしい。そんな作風に心惹かれるのである。最近は活字でもマンガでもトンと見かけることのない、(いい意味で)バッカバカしい“おはなし”を紡ぎだしている数少ない作家。というのが自分の竹本泉観である。

で。「ねこめーわく」だけど、猫好きとしては当然グッとくる。んが、くる事はくるんだけれど、あまりにも話が動かなさ過ぎて、もう少しなんかあってもいいんじゃないのかなぁ。と思わないでもない。いずれ3番目のパイロットとか進化管理委員会の真意とかとかとか、“SFっぽい”展開はあるんだろうけれど、もう少し早めにしてほしいなぁ。この分だと、いったい何年先になることやら。

ところで、今回あらためて1巻から見返してみたが、絵が全然変わっとる! 絵柄のあまり変わらないマンガ家ではあるが、そりゃ14年もすれば変わるか(笑)。

Book ねこめ~わく (4)

著者:竹本 泉
販売元:朝日ソノラマ
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2006年1月19日 (木)

ダークタワー2 運命の三人

話が転がりはじめた。前章と比べ、俄然、面白くなってきた。考えるとどこが違うんだよって思うところもあるが、読み進み速度は明らかに変わったしね。小説って不思議だ。いよいよ目的がはっきりし、かつ、主人公ローランドの独りよがりではなくて他者(旅の仲間)との関係が出てきたからなんだろう。いずれにせよ、次作が待ち遠しくなってきた。

しかし、キングは登場人物に容赦なく困難を、特に身体的な困難を押しつけるね。あと、ロブスターの存在が、いわゆる典型的なファンタジーというよりも、モンスターホラー(キング作品で云えば「霧」か?)のテイストが強く、ああ、やっぱキングだなぁ、と根拠はないけれど、そういう印象がありました。

ダーク・タワー〈2〉運命の三人〈上〉 Book ダーク・タワー〈2〉運命の三人〈上〉

著者:スティーヴン キング
販売元:新潮社
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ダーク・タワー〈2〉運命の三人〈下〉 Book ダーク・タワー〈2〉運命の三人〈下〉

著者:スティーヴン キング
販売元:新潮社
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2006年1月16日 (月)

獣の夢

勿論面白いのである。お薦めなのである。

古いタームで語るなら「言霊による支配の恐怖」であり、今様に云えば「情報の変異が生み出す困惑」てな感じだろうか。人間の最大のコミュニケーションツールである言葉という奴は、思っている以上に不自由で、行間にこぼれ落ちていってしまう真実は多いのである。で、欠落した情報は、情報の受容者は自ら補うこととなり、故に当初の意味合いからは変異していってしまう。そういうことなのだろう。ま、そう云っている自分自身、この文章自身、言い表せておらず、故に読む側では「なにミスリードしてるんだよ」みたいに思うのだろうが。

中井拓志はクォータームーン以来、手を変え品を変えながら意識と情報について語ってるなぁ。そしてすべからく、基本的にはホラーではないのだなぁ。むしろミステリー。今回は特に警察小説、捜査小説的色合いが強い。それもまたよし。ま、恐怖ってのは怪奇だけじゃあないので、ね。

しかし、文体が、『ツッコミ文体(?)』で、それはそれで個性的で面白いんだけど、もう少しソリッドな感じのほうが好きかなぁ。好みの問題ですけれど。

獣の夢 Book 獣の夢

著者:中井 拓志
販売元:角川書店
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2006年1月13日 (金)

のだめカンタービレ(14)

 のだめ、キターーー! トレビア~ン。相変わらず所長は絶好調である。
 安心して笑えるし、サクセスストーリー(笑)ならではの昂揚感があって、読んでいて心地よい。
 ちょっと思ったんだけど、この物語はどこで幕を閉じるんだろうか。このままだとしばらくは終わりそうもないが、なんか延々ダラダラと終わらないってのもどうかと思うので、ね。

のだめカンタービレ #14 (14) Book のだめカンタービレ #14 (14)

著者:二ノ宮 知子
販売元:講談社
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ぴよぴよキングダム2 ときのしおり

 プロローグのドタバタっぷりは、ベタだけどすごく上手く話が転がっていて、ようやく楽しそうなスラップスティックコメディになりそうな感じだったのだが、やはり裏返ってしまった。木村航という書き手は、文章センスに屈託がありすぎるのかもしれない。自分では明るいノーテンキで元気な話を書いているという意識なのかもしれないが、オレの印象では相当に屈託して自虐と他虐のダウナー系の文章だなぁ。それはけして欠点ではないのだが、でもライトなコメディを書く作風ではないと思うのだ。

 作風以外にも、例えば、世界レベルでの陰謀権謀的設定と登場人物の抱える世界が不飽和なままで、すごく違和感を感じる。
 また、本当はボーイミーツガールの青春ラブコメ風味にしたかったのだろうが、単に自分についてグジグジ悩んでいるだけで素直な感情がきちんと表現できていなくて、しかも恋に至るエピソードもないので、お互いの感情が伝わってこない。これでは感情移入なんかできない。

 書くべきことを無意識的に端折ってしまっているのかもしれない。そういう作風資質の作家なのかなぁ。ラストの展開も唐突なのだが、これは単純に「次回へつづく」ということなのだろうか。あまり乗り気はしないのだが。高次元文明とかリリッチとか、そっちの設定は魅力的なだけに、判断に悩むところだ。

ぴよぴよキングダム〈2〉ときのしおり Book ぴよぴよキングダム〈2〉ときのしおり

著者:木村 航
販売元:メディアファクトリー
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2006年1月12日 (木)

ぴよぴよキングダム

 タイトルの癒し系な感じにほだされて購入してみたが。
 正直な感想として、楽しめなかった。宇宙ひよこ(高次元生命体)との共生というアイディアは、ビジュアルの面白さとして単純にいいな、とは思うが、いかんせんストーリーが追いついていない。設定がアッパー系のバカなのにも関わらず、主人公達の屈託さ加減はあまりにもアンマッチ。しかもその原因があまりにも些細でリアリティがないのがさらに減点。あまつさえクライマックスに活劇を入れるってのもこの作品に相応しいのか? 自分の感覚からすると、この設定からだったらもっとスラップスティックギャグに持っていくべきだと思うのだが。あるいは登場人物の内省をやりたいのなら、チャカつかない話にすべきだと思うのだが。

ももっとも本当に駄作なら感想は書きませんからね。ヒロインに萌え要素がまったくない潔さはあるな(それともこれが今、世に云うツンデレって奴か? 自分にはそこらへんよく判らんとです)。
 2巻もすでに購入済み。どう変化展開していくのか。楽しみではある。

ぴよぴよキングダム Book ぴよぴよキングダム

著者:木村 航
販売元:メディアファクトリー
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2006年1月11日 (水)

推理小説

注意! 感想文中、ネタバレに結びつく可能性ある言及をしています

 とりあえず叙述トリックということになるのだろうか。いや、メタ叙述のほうが妥当か? 物語としての文(小説部分)、(複数の)登場人物の一人称(告白?)、登場する「推理小説」の文(作中の文)、作者視点のコメント(メタ部分)、など(と読み取れそうだが、そうでないかもしれない文章)がカットバック形式の入れ子構造となっており、故に、どこまでが小説上の事実で、どこまでが虚構なのか、そしてどこまでがメタか、判らぬまま読み進むことになる。
 しかもそんな感じなのに、小説としては普通にエンタテイメントな小説の体裁をキープしていたりもする。少々、文章のツメの甘いところは感じなくもないが、しかし最後まで一気に読ませるリーダビリティはあった。

 根幹部分の謎とその回答に関しては単純といえば単純で、驚愕のミステリーというべきものではない。文中しつこく登場する“アンフェア”という言葉からすれば、もっとメタで卑怯なオチになるのかなと思っていただけに、このスタンダードな結末は逆にちょっと拍子抜けかもしれない。また(メタエクスキューズはしてあるものの)放り投げたままの伏線もある。でも読後感は悪くないのは、推理小説として成立しているからだろうし、女刑事雪平夏見のハードボイルドとしても読めるという、お得感を無意識のうちに感じたからだろう。

 なんか誉めてないような感想になってしまったが、いやいや面白かったんですよ。

(ただし、会話文の中に“音符マーク”を入れるのは自分的にはリアリティはないけど)

推理小説 Book 推理小説

著者:秦 建日子
販売元:河出書房新社
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ポテト・スープが大好きな猫

 ちょっとこれはいいですなぁ。猫好きにはたまらんものがある。猫のわがままで気ままで、でもどこかでつながっている、そんな性格が、本当に小さな話の中にしっかりと描かれている。ように思う。
 絵もかわいい系ではなく、味のあるいい感じに枯れた印象があってよいな。村上春樹というブランドネームがついてなくても十分に吸引力があると思うね。

 実のところ、こういう“よきアメリカ”的な話はなんかスカした感じと欺瞞っぷりが鼻について、あまり好きではないのだが(でもってそういう話って村上春樹的でもある?)、猫がうまくフォローしてくれたみたいで、なんか許せる。ひいき目なのかなぁ?

 しかし猫が採ってきた魚はけっきょくどうしたんだろう。そんなことを想像するのも、こういう絵本の愉しみのひとつなのかも。

ポテト・スープが大好きな猫 Book ポテト・スープが大好きな猫

著者:T. ファリッシュ
販売元:講談社
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2006年1月 9日 (月)

ダーク・タワー(1) ガンスリンガー

陰鬱かつ憂鬱で冗長的な文体のせいですごく読みづらい。延々と語られる主人公の自己言及、前向きとは思えない行動動機付け、といった語り口は、(今の)キング的な部分ではあるのだが、実はあまり好きではない。もっとサクサクっとした感じのほうが今は好みなもので。せっかちになったのかなぁ、自分。

書き方の他に、ストーリーも大きく転がるような内容ではない、ってのもあるが、しかしこちらのほうは大河小説のイントロ的位置づけなので仕方がないのかもしれない。これは今後の展開に期待するところ。

いずれにせよ、シリーズものなんで、全巻読み終わってみないとなんともいえないですね。

ダーク・タワー1 ガンスリンガー Book ダーク・タワー1 ガンスリンガー

著者:スティーブン・キング
販売元:新潮社
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2006年1月 7日 (土)

へうげもの(1)

自分、『へうげる』という単語を知りませんでした。ちょっと悔しい。

いかにも、山田芳裕っぽい。面白い! 戦国モノにあって戦乱を描くのではなく、現代的なウケの気持ちを捨てきれない男の業の物語であるところがいいんだよね。視点的には「しわあせ」と「考える侍(名作!)」の中間的な位置付けか。これからの展開が楽しみである。

へうげもの 1 (1) Book へうげもの 1 (1)

著者:山田 芳裕
販売元:講談社
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蟲と眼球と殺菌消毒

日日日の諸作品中、もっとも上遠野耕平色(あるいはJOJO的か?)が強い。そしてもっとも悪意と痛みが強い。個人的には日日日はライトノベルより純文学的作品のほうが好きなんだけど、眼球抉子のシリーズの自傷感は好きだな。それは多分、自分自身の内省する気分とうまくマッチするせいだろう。まあ、それだけだとイタイだけなんだけど、最悪な中にも希望を置いおく(編集サイドの意向かもしれないけれど)部分が救いになっていると思う。続きが待ち遠しい。

蟲と眼球と殺菌消毒

Book 蟲と眼球と殺菌消毒

著者:日日日
販売元:メディアファクトリ-
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さよなら絶望先生(2)

絶望した! あ。いや、面白いですよ。
1巻はキャラ紹介的な面もあって実はあまり広がりがなかったところもあるんだけれど、2巻目に入って久米田康治節炸裂である。ダジャレ誤変換的ネタから繰り広げられるバカネタの暴走っぷりがとても気持ちいい。サイコーデス。絵柄もアクがないし(悪意はあるけどな)、なんでブレイクしないんだろう。やっぱり底辺に流れるネガティブでダークな魂のせいか?。。。。。 ちなみに自分推しはとりあえず智恵先生ですか? ま、そういうキャラ萌えな読み方はしてないんだけど。

さよなら絶望先生 2 (2) Book さよなら絶望先生 2 (2)

著者:久米田 康治
販売元:講談社
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さよなら絶望先生 1 (1) Book さよなら絶望先生 1 (1)

著者:久米田 康治
販売元:講談社
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2006年1月 5日 (木)

読書感想日記開始

自分の忘備録を兼ねてなんでも読書感想日記をスタートします。日常&ネタ用のブログとは切り離し、こちらは完全に感想文に特化していきたいと思います。なんらかの参考となればよろしいかな、と。

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